都議会レポート2010/3

『築地市場、現在地再整備』検討が実現。青少年条例は知事も認める継続審議に

平成22年第一回都議会定例会が、3月30日に終了しました。

今定例会は、築地市場の移転問題が最大の焦点となりましたが、予算案の修正を前提に協議を重ねてきた結果、現在地再整備を都政の検討課題とすることができました。

また、青少年健全育成条例の改正案に関しては、関係団体より多くの意見を聴いた上で、採決するにはまだ議論が必要と判断し、継続審議としました。

私たち都議会民主党は、都民の皆様の声を聴きながら、熟議のある都政運営を目指していきたいと考えています。今後とも、ご理解・ご協力の程、お願い申し上げます。

築地市場の強引な移転にNO!用地取得費が事実上執行停止

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都議会民主党は、豊洲の安全性が確認されていないことや関係者の合意が得られていないことから、築地市場の強引な移転に反対し、現在地再整備の検討を求めてきました。また、石原知事が現在地再整備の検討に積極的な姿勢を見せなかったことから、今定例会では、豊洲の用地取得費を削除する修正案の提案を発表していました。

しかし、採決直前、石原知事は「議会での現在地再整備の検討結果を真摯に受け止める」「執行機関として組織を設ける」と答弁。用地取得費の執行でも「議会の合意を尊重する」旨答弁しました。

これらの結果、都議会民主党は、現在地再整備が都政での具体的な検討課題となったと判断し、付帯決議を付して、予算案に賛成しました。今後、都議会民主党は、精力的に現在地再整備を検討し、豊洲案と比較考量した上で、都民や関係者にとって最善の結果が得られるよう取り組んでいく決意です。

知事提案の青少年条例、継続審議に責任感なし!

都議会民主党は、青少年が健全に成長することを目的とする青少年条例の理念に賛同していますが、その施策については大いに熟考していくべきと考えています。今回、青少年が犯罪に巻き込まれることを防ぐとして、児童ポルノや青少年性的視覚描写物に関する新たな規定を設けることや、インターネット利用環境の整備を強化するとした改定規定を置くことが示されましたが、慎重かつ十分に議論し、都民の誤解を払拭していく必要があります。保護者や事業者、作家、学識者など関係者の意見も聴取していかねばなりません。そこで都議会民主党は、子どもたちの健全育成には、総合的な取り組みが必要と継続審査を求めました。

自らが提案者である知事は「幸い継続審議になった」と迷走発言を行い、都庁を混乱させています。

オリンピック招致の総括に関係者の意見が不可欠だ!

2016年オリンピック招致失敗の総括は、未だ多くの都民が納得するものには至っていません。区市町村とのムーブメント推進事業には、真夏の納涼花火大会などが含まれ、これらのイベントが招致機運の高揚にどの程度貢献したのかも定かでありません。都民からの支持が最下位、寄付目標額も未達成であり、招致には、都民・国民の自主的な盛り上がりが不可欠であることを示しています。

国際招致では、知事が、「国際競技団体などの要職に強力な人材を送り込まねば、招致は不可能」と述べていますが、それよりも、知事自身が、最高責任者として全力で招致に取り組んだのかが問われています。

都議会民主党は、都以外の関係者に意見を聞き、2016年オリンピック総括を続けていきます。

新年度予算で、都民の命と生活を守る施策の前進を!

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都は、6千億円もの大幅な税収減に直面する中、都がなすべき役割を積極的に果たすため、財政の対応力を駆使して、新年度予算を編成しました。

依然として厳しい経済情勢によりしわ寄せを受けている離職者や中小企業に対するきめ細やかな支援や、直面する医療課題への対応、東京の将来を展望した都市インフラの整備や耐震化の促進などを着実に進めていくとしています。

都議会民主党は、今後も税収が伸び悩むと予想される中、都が都民の命と生活を守る施策を前進させると共に、健全な財政運営に取り組むことで、都民福祉を向上させていくべきだと訴えています。

離職者対策の強化とともに企業に対する法令遵守の徹底を

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離職者への支援策には、生活面での支援や職業訓練、就業支援など、多様なメニューが用意されていますが、それらの情報が必要な人に届いているとは言えません。

また、雇用をめぐるトラブルの多くは、労働法令が守られていないことにも起因しており、企業の法令遵守が求められています。

さらに、職場におけるメンタルヘルス対策でも、対策だけでなく、予防策の充実が求められています。

都議会民主党は、予算議会でこれらのことを主張し、いずれも都から前向きな答弁を得ました。

新銀行東京の責任問題、早期に責任の徹底検証を!

1月29日、新銀行東京は、旧経営陣2名に対して、損害賠償請求訴訟を提起しました。

石原知事は「訴訟は結構なこと。厳粛に見守りたい」と述べるにとどまり、設立時の過大なマスタープランの責任や旧経営陣の任命責任などには言及していません。

また、新銀行は、7人の取締役にも責任があるとして、報酬の自主返納を求めていましたが、それに応じていない取締役がいることも明らかになりました。

さらに、新銀行の創設を検討していた東京都の外郭団体が、旧経営陣と交わしていた契約書を破棄していたことも発覚しました。

時間が経つほど、設立当時の証拠書類等が破棄されるおそれがあることからも、早期に責任の徹底検証を求めるとともに、新銀行からの早期撤退を主張しています。

救急の東京ルール、効果と課題を検証せよ

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東京都では、平成20年度、救急搬送に平均47.9分かかっています。このため、昨年救急医療の東京ルールを作り、最寄りの区域内で3つ以上の病院に打診しても受け入れ先が決まらない場合、あらかじめ決めていた地域救急医療センターが受け入れるか、搬送先の病院を探すこととなりました。

いわゆるたらい回しを防ぐという効果はありますが、センターの負担の増大、病院探しがしやすくなるような情報システムなど、課題もあります。このため、都議会民主党は、実施状況の分析による、効果と課題の検証を求め、その結果を踏まえ、支援策などを検討するよう求めました。

NICU 1.5倍、整備目標実現

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低体重出生児の救命救急室(NICU)は、従来、新生児10万人あたりに20床設置という、20年前に作られた厚生労働省基準により、都内に約200床しかありません。

2500グラム以下の低体重出生児は、平成2年の1.5倍に増加、NICU不足が問題でした。そこで都議会民主党が整備目標を現在の実態に合わせて見直しを求め、都は312床を目標にしました。今議会で、目標達成に必要な人員確保への都の取り組みを質しました。

都は「周産期母子医療センターの医師確保等のため運営費補助を格段に充実する」と答弁しました。

高齢者の住まい、新たな都市型手法を

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世界に類を見ないスピードで高齢化が進行する我が国で、特に東京の高齢者人口の増加は際立っています。都内では、団塊の世代が順次65歳を迎える平成24年以降、急速に高齢化が進み、都民の4人に1人が高齢者となる超高齢社会を迎えます。

なかでも、高齢者のみの世帯や要介護高齢者の急増が見込まれています。

そこで、身体機能の低下に応じた、特別養護老人ホーム等の介護施設の整備を積極的に推進するよう求めました。都は、「定期借地権制度など、多様な手法を活用しながら整備を促進していく」とのみ答弁しました。

保育所整備、病児病後児保育の拡充を求める

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厳しい経済状況が続く中、引き続き保育ニーズは増大しており、待機児童は増加の一途をたどっています。都議会民主党は、保育所整備に加えて、保護者の一番の悩みである病児病後児保育も、施設の拡充やサービスコーディネートを強力に支援するよう求めました。

都は、平成24年度までに、保育サービスの利用児童数を2万2千人増やす、国補助に加え、病気の子どものケアに関する普及啓発を図る事業や、子どもの症状に応じ保育と送迎を組み合わせる等の事業に独自の補助等で、拡充に取り組むと答弁しました。

身近な地域で充実を。発達障害児支援体制

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発達障害は、3歳児健診ではっきりわからない場合もあり、その後、各自治体の就学時健診で初めてわかる事もあります。

この間の5歳で健診を実施したり、保育所・幼稚園などで、早期に適切な支援を行えるよう、何らかの対応が必要です。

発達障害児への支援は、身近な地域での体制整備が重要です。そこで、区市町村が発達障害支援体制の整備、発達障害の早期発見、早期支援を行うための、財政支援を求めました。都は、「障害者施策推進区市町村包括補助で財政支援を行う」と答えました。

私学助成を拡充し、更なる公私格差の是正を

東京都は、政府が22年度から実施する私立学校の生徒に対する「就学支援金制度」(世帯収入が低い場合に一定の加算をした約12万円から24万円の給付)を踏まえ、一定の所得以下の世帯を対象に、上乗せする形で「私立高等学校等特別奨学金補助」を前年度比約10億円増の約43億円計上しました。

都内では、高校生の約6割が私立高校で学んでいます。公立高校の授業料が無償化する一方、公私間格差の縮小のため、私学に通う生徒の保護者に対する授業料補助を更に充実していくことを本会議の代表質問で要望しました。

また、文教委員会では、私学の経常費補助の充実も図り、学校経営面から見た公私間格差の解消も合わせて要望しました。

住宅耐震化事業は更なる対象地域拡大を!

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都議会民主党は、建物倒壊危険度や火災危険度が高い地域であるにもかかわらず、木造住宅耐震化促進事業の対象となる「整備地域」に選定されていない地域があることをこれまで度々指摘してきました。

その結果、今年1月、建物倒壊危険度と火災危険度がともに高い地域については、ほぼ全地域が「整備地域」に含まれることになりました。しかし、地域危険度が高くてもまだ「整備地域」から漏れている地域があるため、それらの地域にも対象を拡大するよう、強く求めました。

雨水浸透機能の強化、復活要求予算が実現!

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ゲリラ豪雨対策で、雨水浸透ますの設置助成地域が4流域から7流域に拡大されることになりましたさらに、都議会民主党の復活予算要望により、雨水浸透施設の設置指導等強化事業として、区市町村への普及等を支援する経費の予算案が実現しました。

都議会民主党は、浸透ますの設置は民間レベルでの取り組みが欠かせないことから、積極的かつ効果的な広報啓発活動を実施し、今後、計画的かつ継続的に雨水浸透ますの設置をさらに全都に拡大していくよう求めました。

エネルギー有効利用でCO2排出量削減を!

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東京は、エネルギー利用の密度が高い、大規模な開発が多い、都市廃熱を含めた未利用エネルギーがまだまだ豊富にあるなど、大都市ならではの特性があります。

政府の温室効果ガス排出量削減目標の実現に向け、都議会民主党は、これらの特性を最大限活用するため、複数のビル・街区単位のエネルギー融通による効果的な省エネ・省CO2、再生可能エネルギーや未利用エネルギーの更なる積極活用など、エネルギーの地域での有効利用やネットワーク的利用に向けた取り組みを求めていま す。

広域物流ネットワークへ、陸・海・空一体化を!

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羽田空港は今年10月に新滑走路の供用が予定され、これとともに国際空港機能の24時間化が目指されています。

東京港ではポストパナマックス船に対応した港湾計画が策定され、川崎港・横浜港と3港連携で国際戦略港湾としての選定が目指されています。

都議会民主党は、国内経済活性化の観点から、これらとあわせて大型化する国際海上物流コンテナに対応した広域的な道路網を整備し、陸・海・空による広域物流ネットワークの構築を求めました。

歴史的建造物の活用で景観・観光まちづくりを

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都は歴史的建造物の保存・活用のため、新たに歴史的景観形成ファンドの設立を予定しています。

都議会民主党は、建物所有者が建物の保存に協力しやすくするために、ファンドで修繕費用を助成するだけでなく、維持管理や都市計画税・固定資産税の費用負担などにもインセンティブが働く仕組みの検討を求めました。

また、歴史的建造物を単に景観づくりの観点から保存・活用するだけでなく、観光振興の観点からも周辺のまちづくりに活用していくことを求めています。

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