都議会レポート2010/6

青少年条例改正案は再提出を求め、否決!マラソン財団は透明性を担保し、可決!

平成22年第2回都議会定例会が、6月16日に終了しました。

今定例会は、継続審査となっていた青少年健全育成条例の改正案、東京マラソンの法人化が主な争点となりました。特に、青少年健全育成条例の改正案は、石原知事が議案提出者の自覚も責任感もない不備のある議案であることから再提出を求めましたが、知事がこれに応じなかったため、反対しました。

私たち都議会民主党は、今後も都民の生活に対し大きな責任を負っていることを十分に自覚し、知事の都政運営を厳しくチェックしていきます。

皆さまのご理解・ご協力の程、お願い申し上げます。

知事自らが不備を認める 青少年条例改正案を否決!

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都議会民主党は、子どもたちをめぐる携帯電話を介したインターネット上の有害情報や、書店における図書類での性表現に関する条例改正案を審議する上で、多くの現場を視察すると共に、青少年の健全育成に共に協力していく皆さんと意見交換を重ねてきました。

青少年の健全育成には、子どもが成長の中で自らを高める、成長感覚を養う教育や、社会全体で青少年のメディアに対する受容環境を制御することも重要であり、性的虐待を受けた子どもたちへの支援にも重きを置く、総合的な取り組みが必要と認識しています。

一方、石原知事は、改正案を実は精読していなかったと告白すると共に、「非実在青少年」という言葉は訳がわからない、どんどん変えるべきと発言し、結果、提出者としての自覚も責任感もないことが明らかになりました。

都議会民主党は、知事が不備を認める改正案を撤回し、責任を持てる案を再提出するよう求め、反対しました。

東京マラソン法人化 さらなる情報公開を!

都議会民主党は、東京マラソン財団設立に向けた、補正予算8億円の出資に最終的に賛同しましたが、法人化にあたっては多くの問題点があります。例えば、法人化されても1億円未満の契約に関しては情報公開されません。東京マラソンは、都の独占性が高い事業であることから、都の監理団体の指導基準を超えて、1億円未満の契約内容や金額等に関しても積極的に公開することを求め、都はその方向で検討することを約束しました。また、都の配置職員の見直しを初め財政負担の軽減を図ることや、天下りがないことも合わせて確認しました。

東京マラソンをさらに発展させ、都民に出資以上の還元をもたらすためにも、引き続き健全な経営を求めていきます。

都の「埋蔵金」をめぐり 監理団体改革を求める!

今定例会では、東京マラソン財団や、道路整備保全公社による都への10億円の寄附をめぐって、都の監理団体のあり方も議論されました。

公社の寄附については、包括外部監査で30億円の基金が、「将来の使途が明確でない」とされ、公益法人認定の遊休財産制限に触れる懸念があるとの指摘を受けたことから、漫然と基金を積むのではなく、団体の公共目的に沿って事業を行うべきと質しました。

都議会民主党は、都が、監理団体の事業を、民間市場が未成熟で、民間にゆだねては都民に必要なサービスが十分に提供されないおそれのあるものとしていることから、今後の市場の動向も踏まえ、こうした観点から団体を不断に見直し、民営化や情報公開など、適宜適切(てきぎてきせつ)に対応していくよう求めました。

上野動物園でパンダ導入 希少野生生物の保護を訴えよ!

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上野動物園には、平成20年のリンリン死亡以降、ジャイアントパンダの導入を望む多くの声が寄せられていました。

都議会民主党の質問に、東京都は「今年2月の中国との基本合意を受け、現在、最終的な調整をしている」と述べるとともに「パンダの導入は、パンダ舎の設備更新や改修を行い、平成23年早期に予定している」と答弁しました。

パンダ導入を契機に、来園者に希少な野生動物の保護の必要性と生物多様性保全の重要性を訴えていくことが求められています。

スポーツ振興局の創設は施策推進に結び付くのか

都はこれまでも、スポーツ都市東京の実現を目指し、取り組みを行ってきましたが、今回、スポーツ関連部署を統合、スポーツ振興局を創設する意向を示しました。

現在、全くスポーツを行わない都民が2割を超え、「仕事、家事などが忙しく時間がない。機会がない」ことを理由とする現状の中、都が新たな局をつくることで、健康増進などの効果をどう都民に浸透させ、企業などにもその重要性を周知させていくのか、一層の取り組みを求めました。

また、平成25年に開催される東京国体及び全国障害者スポーツ大会は、スポーツ振興はもとより、多摩や島しょ地域の振興を図る上でもきわめて重要な役割を担っていることから、両大会をいかにこれまでにない大会・祭典としていくのか質しました。

築地市場の再整備に向け都民のアイデア募り、実現に着手!

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都議会では、平成22年度予算の付帯決議に基づき、築地市場の現在地での再整備の可能性について検討することになっています。 都議会民主党で、築地再整備のアイデア募集をしたところ、45件ものアイデアが寄せられました。今後、都議会民主党では、これらアイデアを類型化しながら、都議会に提示していきます。

また、本会議の代表質問に対して、東京都は「検討チームを設置した」と述べるとともに「今後は議会の検討に協力し有効な方策を検討していく」と答えています。

新銀行の責任を検証せよ! 旧経営陣の訴訟始まる

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新銀行による旧経営陣に対する訴訟が今年4月から始まりました。司法の場においても、失敗の責任が解明されつつあります。

しかし、都議会民主党は、旧経営陣と都の外郭団体とで結ばれていた契約書がすでに破棄されていることなどから、関連書類などを適切に管理・収集し、東京都として失敗の原因や責任の所在を検証すべきと主張。東京都は「必要なものは適切に管理している。経営悪化の検証は裁判所で審理が進められており都として改めて行う必要はない」とこれを拒否しています。

強い経済を実現する 産業政策における成長戦略を!

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東京都の産業振興策について都議会民主党は、さらに選択と集中を強めていくべきだと主張。環境・健康・観光分野への重点投資などを求めています。

また、私たちの質問に、東京都は「技術力や製品を持つ都内中小企業のアジアでの販路開拓をきめ細かく支援していく」と答弁。

さらに、国際コンベンションや企業等の会議、見本市などの東京誘致を求めたのに対し、都は「羽田空港国際化を機会に、さらに民間事業者等との連携を強化し、取り組みを促進する」と答えました。

東京の都市計画は市街地の連担性に配慮せよ

現在、政府では「地域主権」の観点から、3大都市圏における用途地域等の決定などの事務権限を基礎自治体に移譲することが検討されています。

しかし特別区では、現行制度でも、区境において一方の区では都市計画法による絶対高さ制限がかけられ、もう一方の区ではそのような網がかかっていないことから、建物高さを巡る建築紛争が発生するといった問題も起こっています。

都議会民主党は、単純に現在検討されているような権限移譲を行うのではなく、市街地の連担性の観点などから、メガロポリスとしての都市構造計画は都が担い、コミュニティのまちづくり・都市計画については特別区が担うよう、都市計画制度全体の事務権限を改めて整理しなおす必要性を主張、都もこれを認めています。

今後の都市づくりは地区の魅力の維持・増進を

都は5月、東京における市街地整備の実施方針を策定しました。

これまでの市街地整備が事業完了までに重点が置かれていたことから、完了後における地区の魅力の維持・増進を図る視点が十分でなかったとの反省に立ち、今後は質の高い市街地の形成とその持続に向け、計画の初期段階から事業主体に対して事業完了後は関係住民や企業が主体となって地域の管理・運営を行っていく、エリアマネジメントの導入を働きかけていくことなどが示されています。

都議会民主党は、地域の良好なコミュニティの形成・再生という観点からも、この取り組みは極めて重要と主張。今後のエリアマネジメント導入に向けた都の取り組みや、公共と民間のパートナーシップのあるべき姿、その中で都が果たすべき役割などを質しました。

温室効果ガス削減へ 国への積極的提案を!

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今年4月、都は国内で初めて本格的なキャップ・アンド・トレード方式による温暖化ガス排出量取引制度をスタートさせました。

一方、国でもキャップ・アンド・トレード方式の導入が議論されていますが、産業界からは、国内排出量取引制度の導入について懐疑的な意見もあるようです。

都議会民主党は、温室効果ガスの排出量取引制度設計には産業界の理解と協力が不可欠であるため、都独自の制度設計の経験やノウハウを踏まえ、国へ積極的に提案を行うべきと主張、都も約束しました。

自分のため友達のため 十五歳までに精神病知識を

5人に1人がかかるといわれる精神疾患。誰もが、自分、あるいは友達、家族をサポートするために、対処できる知識が必要です。

一方、精神障害者の約7割が18歳までに精神病理的問題を抱えていた、問題を自覚していても誰にも相談していない子どもが34%という調査があります。

このように、若者の知識不足は深刻ですが、十分な教育が行われていません。そのため、子どもの年齢に応じた知識の付与が喫緊の課題であると、都教育庁に質しました。

しかし、教育長答弁は、学習指導要領には大脳や神経系の機能については、必要に応じて扱う程度にとどめるものであり、この趣旨に基づき精神の健康に関する学習を適切に行うよう指導する、として全くかみ合いませんでした。

新生児医療充実のため 積極的な取り組みを求める

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都議会民主党は、NICU1.5倍を目標にするよう求めてきました。都も今年度になって、ようやく目標値を明らかにして増床に取り組んでいます。

そこで、今定例会では、増床の努力に加え、NICUから出た子どもなどが入る、いわゆるGCUを地域中核病院へ確保することを、積極的に検討すべきと求めました。

都は、NICUとGCUを切れ目なく確保するため、新たに指定する多摩新生児連携病院の機能も活用して、リスクに応じた連携に取り組むと答弁しています。

特定不妊治療※への 治療費助成増額を求める

全夫婦の約10~15%が不妊症だといわれていますが、結婚年齢の上昇や特定不妊治療の費用の高さから、高齢になって治療を受ける方が少なくありません。

また、特定不妊治療は、夫婦双方に体力的・精神的・経済的な負担を伴うものであり、特に女性の肉体的負担は大変重いものです。 

そこで、都議会民主党は、現在国事業で実施している助成に、都独自の上乗せを行い、負担を軽減することを求めました。

都は国において有効性等を検討した上で、治療内容、費用の標準化を図り、医療保険の適用対象とすべきもの、とのみ答弁しました。

※特定不妊治療:体外受精及び顕微授精。助成対象は、外の方法では妊娠の見込みがないか、極めて少ないと医師に診断された、戸籍上の夫婦(所得制限有り)。

メディアリテラシー・情報モラル教育 一層の充実化を!

都は、高度情報化社会において、メディアリテラシー・情報モラル教育の優先順位をもっと高く置いて取り組むべきと主張しました。

情報の受け手として、メディアを通じて流れる情報は発信者によって加工されたものであると十分に認識させ、本質を見抜く力を育てること、また、情報の発信者として、相手の立場を思いやるマナーや、不用意に個人情報を流さないなど、モラルの涵養が必要です。

知事も、子どもたちが本質を捉える能力の低下、判断停止に陥っている状況があると答弁しましたが、実際の具体的な取り組みはまだ不十分であると考えます。

高校では、平成25年度からは新学習指導要領に従い、「社会と情報」、「情報の科学」という新科目になりますが、一層充実した内容となることを、今後も継続して要望していきます。

特別支援教育 教室不足解消を!

都立の知的障害特別支援学校では、在籍する子どもたちが年々増え、教室不足の状況にあります。

その現況から、第三次実施計画においては、3年という計画期間が、その後の増加に対応できないことも予想されるため、計画期間の延長も視野に入れ、今後の子どもたちの増加に対応した具体的な教室確保策について検討を進めることを求めました。

教育長は、第三次実施計画の策定に向けて、改めて実施している在籍生の将来推計に基づき、各学校で必要な教室数の見込みを立てること、学校の再編整備、通学区域の見直しによる学校間の教室の過不足の調整や校舎の増改築など、様々な対応策を第三次実施計画において具体化していくことを述べ、3年という計画期間の延長も視野に入れていくと答弁しました。

自立的発展に向けた実効性ある島しょ振興策を!

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これまでの島しょ振興策は、主にハード面の社会資本整備にウェイトが置かれてきましたが、真の島しょ振興を実現するためには、港湾など、引き続き必要のある事業もありますが、ハード事業に偏ることなく医療や福祉、産業振興など生活に密接に係わる施策もバランスよく織り交ぜることが重要です。

都議会民主党では、東京の島々が「非日常的癒しの空間」として、自立的な発展と持続可能な地域社会を築き上げていくため、都がそ れぞれの町村の実態に即した、きめ細かで、より実効性の高い支援策を積極的に講じていくことを強く求めました。

ガソリンを貨物運賃補助の対象に

都は伊豆諸島における物価の抑制や島内産業の振興など、島民生活の安定のため、一部貨物の海上運賃補助を行っており、島民には実効性のある事業として高い評価を得ています。しかし対象となる品目が限定されており、見直しが必要となっています。

特に、島しょ地区においては人の移動や物流に不可欠のガソリンは、その価格が高く、島民生活を圧迫しています。島しょ町村ではこれまでもガソリンが対象品目とするよう強く要望していますが、効果が低い、大きな予算が必要などの理由から実現には至っていません。

都議会民主党では、島しょ貨物運賃制度をより実効性の高いものとするためガソリンなど時代の要請に即した品目を対象とするよう積極的に取り組んでまいります。

世界自然遺産登録を契機に小笠原諸島独自の観光の取組を

小笠原諸島は、来年7月に世界自然遺産登録の可否が決定します。

これまで、日本国内で登録された世界自然遺産は白神山地や屋久島、そして知床がありますが、こうした地域では、自然資源の恵みを生かした循環型社会のまちづくりへの明確なビジョンの策定と登録に向けての住民意識の醸成が進められました。

小笠原村においても、これまでに議論が重ねられ、管理計画やアクションプランが策定されていますが、具体的なビジョンを持って島づくりを進めていくことが重要です。

都議会民主党では、世界自然遺産登録を契機に、その価値を生かした観光の振興策として環境に配慮した小笠原独自の取り組みが必要であると考えており、そのための都の支援策を求めてまいります。

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