都議会レポート特集号2011/1

石原知事 最後?の都予算案6.2兆円 3年連続の減少、投資的経費は増
写真

税収が伸び悩む厳しい財政環境の中で、都の一般会計は、平成22年度比0.4%減の6兆2,360億円で3年連続の減となりました。このため、政策的経費である一般歳出が6年ぶりに減となりましたが、都市基盤の整備を行う投資的経費については前年度比3.3%増の8,404億円を確保し、新たな雇用や需要の創出に努めるとしています。

これは、都債の発行抑制や基金の計画的な活用だけでなく、今回、事業評価の更なる強化や歳出の精査などを行った結果、財源を確保したものです。

都は、東京の新たな活力と成長へと結びつける取り組みを推進するため、緊急雇用対策や中小企業に対する総合的な支援、災害に強い都市づくりの推進、「少子化打破」緊急対策、将来を担う子供の教育環境の充実などに取り組むとしています。

昨年12月24日に平成23年度東京都予算案が発表されました。当リポートでは、私たち都議会民主党が重点的に要望したものに対してどれだけの予算がついたのかを主眼としてまとめました。

これらの予算は、皆様から頂く税金であり、全て皆様の生活に関わっております。私たち都議会民主党は、より良い都民生活の環境づくりとして、税金が最大限有効に使われるよう、努めております。皆様にもこのリポートをもとに、東京都をより暮らしやすい環境にするためにはどうすれば良いかをお考え頂き、率直なご意見・評価をお寄せ頂けると幸いです。

医療

成果
がん診療連携拠点病院(3.9億円4.2億円)16病院から21病院へ。
がん治療早期から痛みや苦痛を軽減する緩和ケアセミナー(新規0.2億円)
地域がん登録事業(新規400万円)
東京都地域救急医療センターへの搬送先調整困難患者受け入れ体制整備(新規0.7億円)
休日夜間の重症患者入院体制と軽症者の外来受診体制確保、精神保健福祉士の配置を行います。
NICU設置促進(新規2.8億円)
整備目標320床に向けて、来年度は24床増加し、285床に。
課題
救急患者退院コーディネーター配置(要望額新規1.3億円)、医療従事者の安全確保対策(要望額新規0.2億円)、女性医師復職支援(要望額新規0.5億円)、新生児医療担当医育成支援(要望額新規0.3億円)
上記項目は、予算に盛り込まれませんでした。

環境

成果
集合住宅等太陽熱導入対策事業(新規20億円)
エネルギー変換効率の高い太陽熱利用機器の普及が進んでいないため、メーカーによる新技術開発の誘導やディベロッパーによるマンション開発での太陽熱利用機器の設置補助(5年間で5,000戸)を行ないます。
雨水浸透ますへの設置補助等(0.8億円1億円)
雨水浸透ますは都市型水害等での雨水流出を抑制する防災効果のほか、環境面で地下水涵養や健全な水循環の形成など多面的な効果が期待され、補助対象の拡大などを行います。
課題
住宅用太陽エネルギー利用機器補助関連予算(22年度末で事業終了)
平成21、22年度の2年間で4万世帯での導入を目標としていた住宅用太陽エネルギー(太陽光、太陽熱)利用機器補助事業ですが、22年12月末の補助金申請受付件数が約1万4,000件という状況の中、太陽光発電は民間主導で普及が見込まれるとのことから、当初予定通りの事業終了となります。

防災・まちづくり

成果
緊急輸送道路沿道建築物の耐震化助成(3億円22億円)
特に重要な緊急輸送道路沿いの建築物について、耐震診断が義務付けられるとともに、診断費用(補助限度額内での所有者負担なし)と耐震診断設計・改修費用の助成が拡充されます。
新たな緊急豪雨対策(新規2.5億円)
都営住宅や学校、公園を活用した一時貯留施設の設置モデル事業の実施、既設地下調節池の新規活用方策の検討、大規模地下街における浸水対策計画策定への支援などが新たに行なわれます。
課題
木造住宅の耐震化助成関連予算(9億円11.1億円)
予算は増額されましたが、その規模は耐震診断・補強設計が3,500戸分、耐震改修は400戸分にとどまっており、これまでの助成実績から見ても、平成27年度までに都内住宅の耐震化率を90%とする都の目標達成には遠く及びそうにありません。

成果
雇用就業支援(122億円161億円)
大卒の就職内定率が過去最低の水準になるなど、深刻な状況を踏まえ、新たに未就職卒業者と中小企業とをマッチングすることで、正規雇用就職をサポートする事業(15億円)などを創設しています。
課題
雇用の創出(186億円227億円)
区市町村とも連携を図り、地域のニーズが高い分野や、今後成長が見込まれる分野を中心に、雇用の創出に向けた取り組みを行うものですが、どれだけ正規雇用につながるのか、完全失業率がどれだけ改善するのかなど、実効性の向上が求められています。

子育て

成果
待機児童解消に向けた区市町村の取り組み支援(区市町村の整備費負担軽減を継続)
認証保育所定員(補助単価見直しによる拡大支援を継続)定員19,480→21,580人
事業所内保育所(4億円5億円) 45カ所→61カ所
都型学童保育(8億円11億円) 217カ所→265カ所

高齢者

成果
認知症対策連携強化事業(0.4億円1.3億円)
認知症疾患医療センター12カ所への事業費補助により、医療機関同士や医療と福祉の連携を推進します。
特別養護老人ホーム整備費補助(54億円100億円)
既存特別養護老人ホーム等ユニット化支援(新規6.1億円)
24時間対応の定期巡回・随時対応サービス事業(新規0.6億円)

産業振興

成果
中小企業制度融資(2,530億円2,333億円)
融資目標額は前年度2兆2,000億円に対して、2兆500億円に縮小しましたが、新たに緊急円高対策として500億円の融資枠を確保しています。
中小企業のへ経営安定化支援(280億円257億円)
海外への販路を開拓したい中小企業に対するナビゲータによる支援策を拡充するとともに、製品の開発初期段階から販路開拓までを一体的に支援する事業が新設されています。また、緊急円高対策として、信用保証料の2分の1補助や下請企業への相談等も新たに予算化されています。
課題
豊洲新市場関連予算(1,281億円21億円)
平成26年度中の開場に向けて、土壌汚染対策工事及び本体工事の実施設計などで21億円を計上。22年度は豊洲の用地取得費1,260億円(現時点で未執行)があったため予算上は大幅減になっています。また、豊洲移転を前提に、築地地区を中心とした将来のまちづくりの検討経費として3,000万円を急遽予算案に盛り込んでいます。

教育

成果
私立高等学校等特別奨学金補助(43億円53億円)
私立高校に通う生徒の保護者に対して、経済的負担を軽減する補助。誰もが経済的理由で希望校を断念せず、教育内容で学校を選べるように、今後も保護者負担軽減に努めます。
情報モラル・情報リテラシー教育事業(新規5,000万円)
私たちは、かねてより代表や委員会質問で情報モラル・情報リテラシー教育の必要性を訴えてきましたが、遂に予算化されました。この事業は啓発用DVD作成などですが、配布されても見ない方々にどう関心を持たせるかが課題です。
公立学校における冷房化の支援(新規22億円)
市町村立の小中学校は、冷房の設置率がわずか22.5%。昨年度の記録的猛暑もあり、速やかに冷房施設を導入する必要性があることから、都が緊急に特別措置を行います。
課題
私立幼稚園等就園奨励特別補助(要望額10億円予算額6億7,000万円)
平成22年度に国の幼稚園就園奨励費補助の見直しで低所得者層を優先的に手厚くした結果、負担増となった中間層の世帯に対し、都が負担増分を緩和します。負担増分を全て都で補助するよう求めましたが、負担増分の3分の2補助にとどまりました。

市町村の振興

成果
市町村総合交付金(435億円448億円)
市町村の行財政を総合的に支援する交付金が増額されました。今後、より活用しやすい適用事業の拡大や、弾力的・効果的な運用・事務の簡素化を求めていきます。

ページトップ