都議会レポート2012/10

犯罪被害者支援条例案を提出、自公・維新の反対により否決!

平成24年第3回都議会定例会が、10月4日に閉会しました。

都議会民主党は、犯罪被害者などの権利を守り、利益の保護が図られる社会を実現させるため、犯罪被害者支援条例案を提出させて頂きましたが、自公・維新に反対され、否決されました。

また、緑化による生活環境の改善には、屋外だけでなく室内を緑化することが必要という理由から、室内緑化推進条例を併せて提案致しましたが、同様に否決されました。

私たちは、都民のベストな生活環境を構築するために必要な施策を、今後も提案してまいります。

皆様には本リポートで質疑内容をご確認頂き、ご意見を賜りたくお願い申し上げます。

犯罪被害者支援の推進 都条例制定を

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平成16年、犯罪被害者の権利利益を保護する犯罪被害者等基本法が制定されました。

しかし、犯罪被害者等の権利利益を保護する社会を実現するためには、国だけでなく、自治体の取り組みも極めて重要であり、特に、都においては、犯罪発生水準や交通事故発生件数が高く、都民の誰もが、犯罪被害者になる可能性が高い状況にあります。

そこで、都議会民主党は、犯罪被害者や専門家等の皆さんから意見を聴取するなどして、犯罪被害者等基本条例案を作成し、議員提案として都議会に提案しました。また、併せて、都に対して条例案への理解と、犯罪被害者等の権利を守る安心・安全の東京の実現に向け、共に取り組むよう求めました。

しかし、石原知事は、犯罪被害者に対する経済的支援を行うことは、国の責務だとして、条例制定に消極的な姿勢を見せ、結果、自民、公明、維新の会の反対によって条例案は否決されました。

ロンドン大会後のオリンピック招致戦略は!

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日本でも大きな盛り上がりを見せた今夏のロンドンオリンピック・パラリンピック。この盛り上がりを2020年東京招致の活動につなげる戦略を都に訊きました。

都は、JR各社の協力で各駅にポスター掲示を拡大することや、大会開催による投資効果を広く都民に訴えていく旨を述べました。

また、石原知事に、パラリンピックを東京で開催する意義を質したところ、知事は、障害者スポーツへの理解と東京のバリアフリー化を促進させ、東京ならではのパラリンピック開催を目指し、招致レースを是が非でも勝ち抜くと意気込みを見せました。

室内緑化推進条例を提案 自民・公明等の反対で否決

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都議会民主党は、建築物内部の緑化を努力義務として加える自然保護条例(※)改正案を提出しました。現在、東京にはエアコンやOA機器の普及によるCO2、排熱、VOC等多くの課題があります。

一方で、都内みどり率は区部19.6%、多摩67.4%で、平成15年から区部では横ばい、多摩では2%減少しています。

植物には室内でもVOC吸収やCO2削減などの化学的・生物学的効果が認められます。また、東京の主要農産物である花きや苗木生産振興、都市農地保全にも繋がるものですが、自民、公明、東京維新等の反対で否決されました。

※正式名称:東京における自然の保護と回復に関する条例

大規模地震対策によっていかに減災を実現するか

4月、都は、首都直下地震等の新たな被害想定を公表しました。

死者が約1万人、避難者は339万人に上り、被災から3日間は都民、地域が自助・共助で生き延びる対策を講じる必要があります。

都議会民主党は、震災から1年半経つ中で、防災意識を風化させずに、都民、企業、組織、地域、そして東京全体が大規模地震対策に取り組むことを都が支援し、都の減災戦略の実現を促すことが重要と訴えました。

都は、地域防災計画修正素案で今後十年で達成すべき目標を示すし、今後は、道路ネットワークの整備など公助の取り組みはもとより、防災隣組の認定団体の取り組みや帰宅困難者対策に係る実施計画の策定など、都民や事業者の自助・共助の取り組みを推進する手立てを着実に講じると述べました。

100%耐震化を急げ!特定緊急輸送道路沿道建築物

都は昨年、条例を制定。特定緊急輸送道路を指定し、沿道建築物の所有者に耐震診断義務化、耐震改修などを努力義務化し、耐震化費用の助成などを行っています。

平成27年までに、対象となる約5千棟の81.3%の耐震化率を100%にすることが目標です。

取り組みを加速させるには、固定資産税減免等のさらなるインセンティブ付与等を行うとともに、一棟でも多くの建築物を耐震診断につなげることが肝要です。

平成27年度までの特定沿道建築物百%耐震化達成に向けて強力に取り組むよう求めました。

都は、義務化に伴い、診断助成は、8月末までに約千百件の申請、耐震補強や改修、建てかえの助成も、昨年度の実績を大幅に上回っているが、今後も特定沿道建築物耐震化を推進すると答弁しました。

木密10年プロジェクト 不燃化特区は大胆な施策を

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木密地域不燃化10年プロジェクトでは、都が整備地域約七千ヘクタールから不燃化推進整備地区を指定し、特に重点的に取り組みを推進する、いわゆる不燃化特区制度を創設することとしています。

今後、都と区が共同でプログラムを作成しますが、地域特性に応じて取り組むため、大胆な施策を実施するよう求めました。

都は「各区からの提案も踏まえ、地域の実情に合った特別な支援策など、不燃化特区の制度を構築し、強力に推進する」と答弁しました。

初のマンション実態調査速報2万4千棟が旧耐震!

都のマンション実態調査(速報)では、都内マンションの約2割、2万4千棟が旧耐震基準と判明。都の全住宅の耐震化目標は、平成27年度までに90%以上です。一方、旧耐震基準のマンションで耐震性が確保されているのは、分譲でわずか約12%、賃貸で約7%です。都は今年度、千棟を目標に耐震化の説明をする啓発隊を、8月から先行派遣していますが、概算で1万棟を超える未耐震の分譲マンションがあるなかで、目標達成は疑問です。

そこで、都議会民主党は、年次ごとの耐震化棟数の目標設定など、より一層の取り組みを求め、これに対して、都は「約百棟訪問した啓発隊の経験を踏まえ、工夫を凝らし、旧耐震基準の全分譲マンションを対象に、普及啓発活動を展開する」と答弁しました。

東京外環は湾岸道路までの早期延伸で周辺の渋滞解消を

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東京外かく環状道路は、先日大泉~東名高速間の本体工事に着手しました。そこから湾岸道路までの計画は具体化されていません。

外環は、第三京浜を経て湾岸道路まで延伸させることで、環状八号線から周辺住宅街にまで及ぶ渋滞解消、物流の改善が期待されます。コストも抑えて、湾岸道路までの整備を進めていくべきです。

そこで、東名高速から湾岸道路までの検討の場の設置に向けた都の取り組みを質しました。

都は、検討の場の早期立ち上げと、調査実施を国に求めると答弁しました。

悪質ないじめ問題 早期発見・対応のためには

悪質で痛ましい、いじめ事件が連日報道されています。

いじめの深刻化、長期化を防ぐためには、問題に対する学校側の見て見ぬふり(事なかれ主義)や隠蔽がないよう、早期発見・早期対応する体制の強化を図っていかなければなりません。そのような点を踏まえて、都にいじめ対策を質しました。

都教育委員会は、7月、都内の全公立学校に独自の緊急調査を行い、いじめと疑われるケースも含めた実態把握に努めていることや、いじめ問題の有無で教員が評価されるのではなく、いかに積極的に対応に当たったかで評価される教員評価の仕組みの趣旨を徹底し、早期発見・対応につなげる旨を答えました。また、家庭と地域との連携強化や、徳育の徹底も行っていく旨を述べました。

多摩の小中学校 普通教室の冷房化促進を

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多摩の公立小中学校の冷房化について、都教育委員会は、平成22年度から普通教室の冷房化促進のための補助事業を、今年度までの時限事業として行っています。

しかし、東日本大震災の影響等により、一部の市町村では冷房化が完了していないため、本事業を来年度も延長すべきと訴えました。

都教育委員会は、整備状況等の調査を進めている旨を答え、来年度の延長には言及しませんでした。

完了に至らなかった市町村に対しては、今後何らかの措置を図っていくことを要望していきたいと思います。

ニーズの変化を踏まえた保健医療計画の改定を

現在、東京都保健医療計画の改定作業が進められています。

都議会民主党は、改定計画には高齢者に限らず、障害者や児童の分野においても地域包括ケアの概念を導入し、都内各地域の特性に合わせた地域包括ケア体制を構築することが必要と主張しました。

また、今後の人口動態推計によれば、都内では高齢者の数、割合がともに急激に伸びることが予想されており、現在でも非常にニーズの高い医療療養病床の確保も急務と考えています。

都は、今回の改定では、高齢化の急速な進展など社会状況の変化や都の特性を踏まえ、医療と介護の連携による在宅療養の推進や、精神疾患医療の充実、災害医療体制の強化等を重点的に取り組む課題に位置づけるとしています。

医療と福祉の連携充実で若年層の精神疾患対策を

若年層の精神疾患では、30歳代までに発症するとされる統合失調症、発達障害やそれに伴ううつなどについて、通院以外のきめ細かな支援サービスが十分に行き届いていない領域と言われます。

精神疾患も早期に発見し、早期に治療や支援を行うことによって回復の可能性も高くなり、相談事業やアウトリーチなどに、民間の医療機関や福祉事業者を積極的に活用することが重要です。

都は専門職による相談や区市町村や民間事業者等と共同した事例検討会の実施などの支援を行ってきましたが、今年度から区市町村や保健所などからの依頼により、地域生活に困難を来している精神障害者を、グループホームを運営する民間事業者が短期的に受け入れる、医療と福祉が連携したモデルを実施すると答弁しました。

増える若者の自殺者数 自殺対策の更なる充実を

8月に閣議決定された自殺総合対策大綱では、近年、年間自殺者数はわずかながら減少傾向を示しており、平成23年は初めて3万1千人を下回ったとしています。

一方で、若年層の自殺死亡率が高まり、学生・生徒の自殺者数が増加傾向にあります。

都には、国の大綱の見直しを受け、今後、国の施策との整合性を図りながら、自殺総合対策を推進していくことを求め、都は平成19年に自殺総合対策東京会議を設置し取り組んできたが、今後も取り組みが必要である旨を答えました。

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都内経済の活性化には小規模企業の成長が不可欠

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日本経済の発展には地域経済の活性化が必要です。都内産業においては多くの中小企業、中でも小規模企業が優れた力を発揮して、都内の経済活動の基礎をしっかりと固めています。

都議会民主党は、都が、都内小規模企業により注目して、その成長を促す施策体系を展開するべきと訴えました。

都は、企業の課題に、専門家が助言を行う体制を整備するとともに、新製品や新技術の開発で助成事業を実施するなど、着実に小規模企業の成長を促進していくと述べました。

小企業と若者雇用のミスマッチ対策強化を

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東京の産業を支える中小企業の重要な経営資源は人材ですが、中小企業では、採用活動が制限され、採用内定の辞退や早期離職など、雇用のミスマッチも生じています。

一方で、中小企業への就職を希望する新卒者も増えつつあるため、都議会民主党は、都が中小企業と若者の雇用のミスマッチを改善する支援策の充実を求めました。

都は、ホームページでの紹介や、ものづくり訪問ツアーの実施などを通して中小企業の魅力を発信するとともに、人材育成の専門家による企業からの相談対応で企業をサポートしていくと答えました。

成長産業分野の振興に金融支援の取り組みを

都議会民主党は、都内中小企業を取り巻く経営環境が依然として厳しい中においても、都として将来を見据え、成長産業の振興に向けた金融支援が必要ではないかと考えています。

そこで、環境・エネルギー関連産業、健康関連産業などの成長産業分野に取り組む中小企業に対する金融支援について、産業振興の観点からの対応について訊きました。

都は、環境などの重点産業分野において、技術や製品の開発に取り組む企業に対し、産業力強化融資による支援を行い、今年度は、成長分野の創業間もない企業の応援のため、新たにベンチャーファンドを立ち上げ、中小企業への金融支援を着実に支援すると答弁しました。

自転車条例の制定に向け都民の合意形成を図れ

都自転車対策懇談会の提言を受け、都議会民主党は、都に対して、自転車条例の制定に向けた検討を求めるとともに、ナンバープレート制度についても、導入に向けた取り組みを求めました。

これに対して、都は「まず、自転車の安全で適正な利用を促進するための条例を早期に提案できるよう取り組んでいく」と答弁。ナンバープレート制度については「防犯登録との関係整理や効果的・効率的な制度設計など、さまざまな課題がある」とした上で「提言を踏まえ、制度導入の是非や制度のあり方について、関係者の意見を踏まえ、検討していく」と答弁しています。

都議会民主党は、施策のメリット・デメリットを明示しながら、都民の合意を図っていくことが重要であると考えています。

知事の専決処分に反対!課税ミスへの対応求める

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都議会民主党は、知事提案の専決処分に反対しました。これは、都が、都民から誤って徴収していた固定資産税を過去五年分還付したことに対して、それ以前に徴収していた分も返還すべきだと訴えられたもので、一審・二審とも、都が敗訴。今回、都が上告したことに対して賛否が求められました。

都は「同様の件で勝訴した例がある。法解釈に誤りがある」として上告しましたが、私たちは、これ以上裁判を長引かせるよりも、都民の損失を救済することの方が重要であると考え、反対しました。

食文化の拠点継承に向け築地でフィッシュマーケット

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築地市場の移転問題で、都議会民主党は、今年2月に、都と中央区とが交わした「合意」が着実に履行されることを求めています。

私たちの質問に対して、都は「区が検討している施設は、敷地面積約4千平メートルに約百店舗分の区画を用意し、移転の半年前までに施設を完成。移転に先駆け開業を目指し、食のプロに支持され、一般客や観光客にも親しまれる施設として整備する」と説明。「都としても、築地のにぎわいと伝統文化の継承に積極的に協力していく」と決意を述べました。

多摩振興で新たなビジョン鉄軌道ネットワークの充実を

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オリンピックや総合特区など、都の施策は、区部偏重になりがちですが、都議会民主党は、新たな多摩ビジョンの策定や鉄軌道ネットワークの充実などを求めました。

都は「多摩ビジョンを行政の指針にとどめないためにも、民間企業やNPO等からヒアリングを行い、今年度中に策定」と答弁するとともに、「中央線複々線化や多摩都市モノレールなどは、事業主体や採算性などの課題がある。将来の輸送需要の動向などを見据え、国や自治体、鉄道事業者とともに検討していく」と答弁しました。

民主党政権が尖閣国有化 実効支配の強化を求める

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石原知事が、都による購入を表明していた尖閣諸島は、民主党政権が、9月11日に地権者と売買契約を交わし、国有化されました。歴代自民党政権がなしえなかった国有化が、石原知事の購入表明後、半年で実現。「本来国がやるべき」としていた石原知事の主張が実現したのです。

しかし、都議会民主党は、国有化だけで良しとするのではなく、売買契約当日、早速、野田総理に対して、取締りの強化や避難港の整備、自衛隊の有効活用などを求める申し入れを行いました。

安心して働ける環境を 公共事業で一歩前進!

民主党政権は、入札希望企業が、社会保険未加入であった場合、これを指導・是正する取り組みを始めました。また、都でも、10月1日から、公共工事で低価格入札があった場合、代金支払や社会保険加入等の法令遵守をチェックするなどの強化策を始めました。

都議会民主党は、すべての公共工事での取り組みを求め、併せて、現場で働く労働者が不利益を被ることのないよう求めました。これに対して、都は「工事施工中は、施工体制台帳等による確認指導を行うことや工事完了後に実績報告書を提出することなどを元請に義務づけ、下請への確認指導が確実に行われる仕組みをとる」などと述べ「下請や労働者にしわ寄せが生じることのないよう、引き続き公共調達制度の適切な運用に努めていく」と答弁しました。

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